


音楽はずっとクラシックで
あんまり歌詞がついたものを聴かなかったかわりに、
音楽的な朗読は好きだった。
詩と念仏は口に出して読むのがいい。
意味なんかわからなくていいと思う。
時々はっとする「好きな言葉」に出会う。
好きだから勝手に覚える。
覚えてしまうと、
生活のあらゆる場面で頭から取り出して
口ずさめる。
落ち着いたり元気になれたりする。
宮沢賢治の「春と修羅」の中に
ZYPRESSEN 春のいちれつ
という一節があって、この「ツィプレッセン」を
小学生の僕はものすごく気に入った。
ドイツ語の「糸杉」だと意味を知ったのは大分あとだ。
おれはひとりの修羅なのだ
おれはひとりの修羅なのだ
おれはひとりの修羅なのだ
不思議と気分が昂揚する。