
ムロイはそう遠くない町からの転校生だった。
理由は絶対に話さなかったから、聞いたことはないし知らない。
転校生は無理して明るくふるまって馴染もうとするタイプと、
空気になって目立たないようにするタイプがいたが
ムロイは特に気の毒なくらい周りを気にしているように見えた。
見えたのであれこれとおせっかいを焼いた。
おせっかいだった。
男だからかどうかはわからないが、
結局もてあましてマキタとオータニに投げた。
という顔を僕はした。
だからムロイはそんなことを言った。
いつも僕は余計なことをする。
優しい人間になりたかった。
そう思えば思うほど、ぎくしゃくした。