



1997年。
携帯電話は持ってる人と持ってない人が半々程度だった頃。
僕はさんざん放浪ばかりしてたから心配した両親に持たされ、
奥崎は持っていなかった。
そんな頃。
奥崎は他大学美術部との親交会で知り合った。
少し話すようになると、
僕は自分の大学をほったらかして
奥崎の大学に遊びに行くようになる。
(なんだかいつもそう)

住所だけは絶対教えてくれなかった。
手紙はR大学まで行っては本人に渡した。
妹もR大学だったため、「妹の様子を見に」なんて言い訳をした。
何度かの手紙のあと、住所が書かれていた。
僕は夜中にも関わらず奥崎の下宿まで押しかけていった。
それだけのことだ。
それだけのことだけれど、
それが青春でなくてなんだろう。